昼休みの屋上で私とアリスはお昼ご飯を食べていた。私は焼きそばパンとカフェオレ、アリスは学食の煮込みハンバーグ定食を持ってきて。
「ねえ」「ん」「雲がエーゲ海みたいな形」「なにそれ」「あーよくわかんない」
雨宮さんはきっと私と一緒にお昼ご飯を食べたりはしない。というより、私は雨宮さんと話したことがない。私はときどき不安に思う。アリスが私だけに会いに来るのではなくて、雨宮さんが私にだけ会おうとしないんじゃないのかって。でも、アリスがいるから大丈夫だ。雨宮さんには一生会うことはないかもしれないけれど、アリスがいればきっと、大丈夫だ。
私はアリスを夕暮れに誘うつもりでいた。
「ゆうぐれ?」「うん」「いくいく」
津村さんになんて言おう。夕暮れの話はあまりしないようにって言われているのに。