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 06 - - - “でんわ”
                      (from “SuNSeT and NiGHTFaLL”)


ベンジャミンはアリスを夕暮れに連れて行くことに反対だった。「どこの誰だか知らないけど、夕暮れにお友達を連れてくなんてどうかしてるぜ。おとこか?」「ちがうよ。おんなのこ」「レズビアン!」私はベンジャミンのしっぽをつかむと憎しみを込めてぎゅうっと握った。彼は小さく叫んでその場から走り去る。かわいそうな黒猫。

そういえば津村さんにはまだ何も話していない。あれから会ってもいないし、電話もしていない。アリスを夕暮れに連れていくのなら津村さんの許可は必要だろう。津村さんがいなくては夕暮れの中に入ることもできないし、出ることもできない。アリスに夕暮れのことを話す前に、津村さんにアリスのことを話すべきだった、しまったな、と思った。

(六回目のコール、の、途中。津村さんが受話器をとる)

「もしもし、津村さん?」「ああ、どうしたんだい?」「突然なんですけど、友達を夕暮れに連れていっちゃ駄目ですか」「友達?男の子?女の子?」「おんなのこです」「そう。別に駄目ではないけれど、なんだろう。夕暮れに入る前に、適正試験みたいなものをしてもらいたいんだ」「私の時と同じようなことですか?」「そうだね。アレをやってもらうことになるね」「わかりました」

がちゃり。

(電話帳。アリス。発信ボタン。コール音は三回目と四回目の間の空白で、途切れる)

「アリス?」「うん」「ちょっと今、いい?」「だいじょうぶ、です、ね」「あのさ、次の土曜日って空いてる?」「空いてないこともない、かな」「ちょっと会ってほしい人がいるんだけど」「ん、だれ?」「前に言った夕暮れの、うーん、なんだろ。案内人?」「あはは」「なに?」「なんでもないよ」「土曜日、くる?」「うーん、じゃあいく」

ピッ。