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 07 - - - “色はあか、わたしは黒”
                      (from “SuNSeT and NiGHTFaLL”)


「こんにちは。君がアリスちゃんだね?」「はい。はじめまして」「聞いてると思うけど、僕が津村です。一応夕暮れの案内役をやってます。ま、趣味の範囲でだけどね」「素敵な趣味ですね」

駅から少しだけ歩いてちょっと寂しげな路地に入ったところにあるのはカフェ“クワーティ・カポーティ”。私とアリスと津村さんはそこの一番奥のひっそりとし過ぎたテーブルで紅茶を飲みながら話をしている。アリスは相変わらず誰とでも上手く会話をする。津村さんもアリスも笑っていた。私も笑いながら、たまに当たり障りのない相槌なんかを入れたりして、二人の会話を眺めていた。

「適正試験、っていうほど大げさなものじゃないんだけどさ。ちょっとやってもらいたいことがあるんだ。いいかな?」

アリスはどうぞ、とうなずく。それを見た津村さんは優しい笑顔のまま、テーブルの下のカバンから小瓶を取り出した。瓶の中には薄い赤が満たされている。

「これを飲んでもらうだけだよ」

まるで夕暮れみたいな色だ。もしかしたらこの液体は夕暮れの中でとれたものなのかもしれない。とにかく、小瓶に赤色、なんて怪しすぎる組み合わせだろう。

「別に変なものじゃないから安心していいよ」

アリスは瓶を手に取り、色々な角度から見回し、観察する。

「これを飲んで、そしたらどうなるんです?なにをもってテストの判断基準とするんですか?」 津村さんは微笑む。 「もし君が夕暮れに入れるのなら、それを飲んでもなんともないはずだ。でももし君が夕暮れを受け付けない人間だったなら」 少し、とまる、間。 「ちょっと気持ち悪くなっちゃうだけだよ」

夕暮れを受け付けない人間なら、と津村さんは言った。その考えは一度も持ったことがなかった。私達が夕暮れに対して耐性を持っているとかではなく、夕暮れが誰を入れるのか選んでいるのだと思っていた。津村さんの話を聞いた今でもその考えは変わらない。夕暮れが、すべてを決定しているのだ。

「じゃあ、飲みますよ」 ゴクリ。

私も津村さんも黙ったまま様子を見る。アリスは特になんともないと言った様子で小瓶をテーブルに置いた。 コトン。

「気持ち悪かったりはしない?」

「まだ飲んですぐなんでわかんないですよ」

じゃあ、二、三日したら経過を報告してください。もし特に変わったことがなければ君も大丈夫です。 津村さんはそう言って席を立つ。 はい、それじゃあまた連絡しますから。アリスは言って、笑う。

「たいしたこと、なかったね」

津村さんが忘れていった空っぽの瓶には、まだ赤色が生き残っていた。夕暮れくん、死んじゃ駄目だよ、と頭の中でつぶやいて、それをゴミ箱へ、捨てる。